Beamer V3.0 を使ってみる

ホームページ、ドキュメント等

Beamerのホームページ   ダウンロード用のページ

概説 : beamer_guide.pdf   詳説 : beameruserguide.pdf   PSTricks の利用 : beamer_pstricks.pdf


インストール

latex-beamer-3.06.tar.gz, xcolor-2.00.tar.gz, pgf-1.01.tar.gz の 3つをダウンロードしておきます。
今回は $TEXMF/tex/latex 以下に展開しました。 当講座では $TEXMF は /usr/local/teTeX2/share/texmf です。

% cd $TEXMF
% cd tex/latex
# zcat latex-beamer-3.06.tar.gz | tar xf -
# zcat xcolor-2.00.tar.gz | tar xf -
# zcat pgf-1.01.tar.gz | tar xf -
# mktexlsr


基本構造とテーマ

雛型の TeX ファイルの例を示します。
%%% Beamer v3, sample TeX file
%%% Time-stamp: "2006-11-01 00:00:00 fujiwara"
\documentclass[オプション]{beamer}

%%%
%%% テーマの指定、省略時は default になる
%%%
\usetheme{テーマ名}        % フレームの指定、省略可
\useusecolortheme{カラー}  % 省略可
\usefonttheme{フォント}    % 省略可
\useinnertheme{テーマ名}   % タイトル、section, itemize/enumerate 環境、
                           % theorem 環境、図, 参考文献などのスタイルを指定、
			   % 省略可
\useoutertheme{テーマ名}   % ヘッダ、フッタ、フレーム等を指定、省略可

\logo{背景画像の取り込み}                  % 省略可
\setbeamertemplate{navigation symbols}{}   % ナビゲーションバーを表示しません

%%%
%%%  日本語フォントをゴシックに、数式フォントを太字に変更する
%%%
\renewcommand{\kanjifamilydefault}{\gtdefault}
\mathversion{bold}

%%%
%%% 著者など
%%%
\title[Short title]{タイトル}   % Short title は省略可。ヘッダ、フッタの表示で利用
\subtitle{副題}                 % 省略可
\author[著者略称]{氏名}
\institute[所属略称]{所属}
\date{日付}

\begin{document}

%%%
%%% 題目、著者など cover page
%%%
\begin{frame}
  \titlepate
\end{frame}

\section{節名}        % section 名は PDF に変換したとき「しおり」にも表示される

\subsection{小節名}   % subsection 名も PDF に変換したとき「しおり」に表示される

%%%
%%% 1 枚目のスライド
%%%
\begin{frame}[スライドのオプション]
  \frametitle{1枚目のスライドのタイトル}
  1枚目のスライドの内容
  ...
\end{frame}

%%%
%%% 2 枚目のスライド
%%%
\begin{frame}[スライドのオプション]
  \frametitle{2枚目のスライドのタイトル}
  2枚目のスライドの内容
  ...
\end{frame}

...

\end{document}
Beamer では 5 つの「テーマ」を利用します。 テーマとは、スライドのフォーマット、色を大まかに指定するものです。 いずれも省略可能で、省略した場合には "default" という テーマが使われます。 指定することができる 5 つのテーマは です。順に説明します。

メインテーマ\usetheme{...} で指定します。 "..." には、次の中からひとつ選んで指定します。

ナビゲーションバーの
スタイル
テーマ名
なしdefaults, boxes, Bergen, Madrid, Pittsburgh, Rochester
木構造Antibes, JuanLesPians, Montpellier
内容Berkeley, PaloAlto, Goettingen, Marburg, Hannover
ミニフレームBerlin, Ilmenau, Dresden, Darmstadt, Frankfurt, Singapore, Szeged
セクション名Copenhagen, Luebeck, Malmoe, Warsaw
この他に bars, boxes, classic などがありますが、これらは古いもののようです。。
カラーのテーマ\usecolortheme{...} で指定します。
default, structure, sidebartab
albatross, beetle, crane, dove, fly, seagull
lily, orchid (inner の色指定)
whale, dolphin (outer の色指定)
使用するフォントテーマ\usefonttheme{...} で指定します。
default, professionalfonts, serif, structurebold, structureitalicserif, structuresmallcapsserif
フォントサイズは \documentstyle[11pt]{beamer} などと指定します。 サイズは 8pt, 9pt, 10pt, 11pt, 12pt, 14pt, 17pt, 20pt から 選んで指定します。省略時は 11pt になります。

インナー・テーマは、スライドのタイトル、\section 命令、 \itemize, \enumerate 環境の \bullet, \theorem 環境、 定理などを書くのに便利な \beamerboxrounded などのテーマを決定します。 \useinnertheme{...} を利用します。

default,circles, rectangles, rounded, inmargin
アウター・テーマでは、 ナビゲーションバー、ヘッダ、フッタなど、スライドの周囲に表示される部品を決定します。 \useoutertneme{...} で指定します。
default, infolines, miniframes, smoothbars, split, shadow, tree, smoothtree

著者が複数いるとき(所属が複数になるとき) は、次のように \inst 命令を使います。

\author[著者略称]{氏名その1\inst{1} \and 氏名その2\inst{2}}
\institute[所属略称]{\inst{1} 機関名その1 \and \inst{2} 機関名その2}
\title 命令のオプション [Short Title], 著者略称・所属略称は、ヘッダやフッタの表示に利用されます。

背景にロゴの画像を表示したい場合には \logo{...} 命令を利用します。 kulogo.eps というファイルがある場合、

\logo{\includegraphics[width=2cm]{kulogo.eps}}
とします。サイズの変更も可能です。

\documentclass[オプション]{beamer} で指定するオプションには、 次のようなものがあります。

\begin{frame}[オプション] で指定するオプションでは、 次のようなものがあります。


面割の生成

UNIX 環境であれば、pstops を使うことで 8 面割りの PostScript ファイルを作製できます。 印刷・配布などには便利です。

例えば hogehoge.ps を 8 面割り (A4, portrait) にした PostScript ファイル hogehoge-8nup.ps を生成するには、 次のようにするとよいでしょう。(実際には一行で書きます)。


% platex hogehoge.tex
% platex hogehoge.tex
% dvips hogehoge.dvi > hogehoge.ps
% pstops -pa4 '8:0@.7(1cm,22.2cm)+1@.7(11.2cm,22.2cm)+2@.7(1cm,14.9cm)+3@.7(11.2cm,14.9cm)+4@.7(1cm,7.7cm)\
    +5@.7(11.2cm,7.7cm)+6@.7(1cm,0.4cm)+7@.7(11.2cm,0.4cm)' hogehoge.ps | \
    sed 's/363 273/596 842/g' > hogehoge-8nup.ps

これで作られる PostScript ファイルは、Distiller で処理すると 思いどおりの結果が得られませんので注意してください。

4 面割り (A4, landscape) にして Distiller で処理するための PostScript ファイル hogehoge-4nup.ps を生成するには、 次のようするとよいでしょう。


% pstops -pa4 '4:0@0.35(4cm,12cm)+1@0.35(10cm,12cm)+2@0.35(4cm,7.5cm)+3@0.35(10cm,7.5cm)' hogehoge.ps > hogehoge-4nup.ps


Stepwise Viewing

一枚のスライドの中で、 スペースキーを押すことによって逐次表示をすることができます。 最も簡便なのは \pause 命令による指定です。 スペースキーを押すたびに、 次の \pause 命令までが表示されます。

itemize/enumerate 環境の逐次表示

各項目毎に \pause を指定する代わりに、 まとめて [+-] オプションで 指定することができます。 スペースを押すと、1項目ごとに表示されます。
\begin{itemize}[+-]
\item ...
\item ...
\end{itemize}

表の列の逐次表示

次のようにすることで、列毎に表示することができます。
\usepackage{colortbl}              % colortbl パッケージが必要

\rowcolors[]{1}{blue!20}{blue!10}  % 列毎に色を変更
\begin{tabular}{l!{\vrule}c<{\onslide<2->}c<{\onslide<3->}c<{\onslide}c}
1 & A & B & C \\
2 & D & E & F \\
3 & G & H & I 
\end{tabular}

テキストの置換

逐次表示だけでなく、既に表示されているテキストを 別のテキストにするなどの振舞いを指定することができます。 itemize, enumerate 環境においては \item<n>によって、 n 枚目のスライドにだけその項目を表示することができます。

枚数を指定する <n> には、<1-4,6,9> などの記述も許されます。 この場合、1枚目から4枚目と6,9枚目において 指定した振舞い (表示や隠蔽) がおこなわれます。 ほかにも <3-> とすると、3枚目以降すべてのスライド、 <-4> とすると、4 枚目以前のすべてのスライドを指定 することができます。

\textbf, \textit, \textsl, \textrm, \textsf, \color, \alert, \structure 命令に対しては、同じように <n> でページを指定することができます。

\textbf<2-3>{この文章は、2枚目と3枚目のスライドでのみ太字になります}

Hyperlink

リンク元\hyperlink を使います。 オプションに、次のふたつ
  1. リンク先のラベル
  2. そこに表示する文字列 (テキスト)
を指定します。 文字列として \beamergotobutton{文字列} を指定すると、 テキストの背景に楕円型のボタンが表示され、 リンクであることがわかりやすくなります。

まとめると、リンク元は次のようになります。

  \hyperlink{リンク先のラベル名}{\beamergotobutton{表示するテキスト}}
リンク先label で指定します。
\begin{frame}[label=リンク先のラベル]\frametitle{タイトル}

\end{frame}

Hyperlink と Acrobat のキー操作
リンクは、マウスによって操作することができます。 リンク先のページから(リンク)元のページに戻るときは、 キーボード操作で 「Alt + ←」を使うこともできます。
Acrobat でのキー操作をまとめておきます。

Alt + ← (矢印キー左)前の表示へ
Alt + → (矢印キー右)次の表示へ
スペース次のページへ
↓ or →次のページへ
↑ or ←前のページへ

画像のとりこみ

eps
pslatex
jpg, png, pdf

その他

\alert and \structure
bullets のカスタマイズ
verbatim 環境
footer のカスタマイズ
\begin{beamerboxesrounded}{Theorem} \end{beamerboxesrounded}
column
fujiwara [atmark] acs.i.kyoto-u.ac.jp