6月1日(木) 15:30 -- 17:00 宮澤 理稔(京都大学大学院理学研究科) ``確率微分方程式を用いた地震波線追跡'' <Abstarct> これまで決定論的にしか求められなかった地震波経路に対し、解析的に 不確定性を与える手法の提案をする。 1、地震波経路の不確定性の定義 地球をG多様体Mとみなし、その部分多様体である軌道を地震波の経路とし、 これを regularity region (以下 RR)と呼ぶことにする。すると RR と微分 同相となる管状近傍が存在する。この RR に対する管状近傍の中で、RR と 地震学的に同観測量を持ち得るものを RR に対する stochastic tube (以下 ST) と呼び、RR に対する不確定性領域と定義する。従って ST は震源と観測点の 両端で点に収束し、その間はチューブの様に広がった構造を持つ筈である。 2、Stochastic tube の構造 今 RR に対して ST が存在する時、RR 上の任意の点に関して RR に垂直な スライスを取ると、ST とスライスとの交点を確率過程として ST の定義を 満たすべく確率微分方程式が立てられる。この確率微分方程式の解は唯一的に 存在し、解析的な解が得られる。 3、数値実験 RR をP波の波線に限った場合の2次元と3次元の RR と ST を数値計算により求め、 P波波線の不確定性を表す。