12月20日(木) 15:00 -- 16:30 友枝 謙二(大阪工業大学) ``吸収項をもつある非線形拡散方程式の解のサポートの分離・融合 およびその繰り返し現象について'' <研究発表要旨> 拡散と吸収との相互作用を持つ微分方程式は、多くの分野の興味深い現象を記述する 数理モデルとして広く採用されている。その中で、強吸収効果を伴ったporous media 方程式は、その特徴的な性質の一つとして、解のサポートの分離現象が数値計算によ って示されている。しかしながら、数値計算上で分離現象が見られたとしても、それ を直ちに微分方程式の解の構造や現象面での解釈と関連づけることは容易ではない。 数値計算スキームでは、精密な計算のために時間および空間の分割幅は十分小さく取 られているものの、あくまでも元の微分方程式を離散化して有限近似を行なっている ものであるからである。 最近このporus media方程式に対して、解のサポートが一旦分離し、その後に再び 融合する数値計算結果が示された。これは方程式の持つ拡散効果と吸収効果の微妙な バランスによるものと考えられるが、今回の講演ではこの相互作用による解のサポー トの挙動を数値解析の観点から解明することを主眼とし、サポート分離・融合・再分 離現象、更にその繰り返し現象を数値例を通して紹介する。さらにこのサポート分離 のための十分条件を、、$L_1$および$L^{\infty}$評価を利用し、微分方程式の特解を 利用して数学解析の視点から論じる。