3月28日(金) 15:00 -- 16:30 松本 浩司(京都大学情報学研究科) ``金属腐食問題に現れるある境界値逆問題の解の一意性'' <研究発表要旨> 金属表面の腐食現象を記述する数理モデルに現れる Laplace 方程式のある非線型 混合境界値問題において、境界条件に現れる非線型項を同定する逆問題を考察する。 この非線型混合境界値問題は金属表面の腐食現象の数理モデルとして、順問題およ び逆問題解析が理論的にも数値的にも広く行われているものである。本研究では、 腐食解析の諸問題の中で最も重要である金属表面での腐食速度を求める問題、すな わち、境界値問題の非線型項を同定する逆問題を論じ、2次元多角形領域においては 非線型項の全ての微分係数の 原点 での値が一意的に定まることを証明する. 2次元多角形領域における線型境界値問題では、頂点の各近傍で方程式の弱解 の構造が知られており、具体的な函数として与えられる特異部分と正則部分とに 分解できることが可能である。本研究では、Leray-Schauder の不動点定理を適用 することにより、非線型問題であっても順問題の弱解は線型問題と同形の漸近展開 を有することを示し、さらにDirichlet 条件と非線型条件がそれぞれ課されている 境界辺同士の交わる頂点での両立条件を精密に解析する。その上で、この順問題 解析の結果得られる両立条件と弱解の漸近展開を先験情報とし、逆問題の一意性 を証明する. セミナー室: 京都大学 工学部2号館4階 414号室 (応用解析学講座セミナー室) ●今回のセミナーは、講演者の学位予備審査の公聴会を兼ねております。 また、日時が定例セミナーと違っておりますので、ご注意下さい。 ------------------------------------------------------------- セミナー連絡先: 京都大学大学院 情報学研究科 複雑系科学専攻 磯 祐介 e-mail; iso@i.kyoto-u.ac.jp