6月19日(木) 15:00 -- 16:30 木村 正人 (九州大学大学院数理学研究院) ``多角形版移動境界問題の構成とその数値解析'' <研究発表要旨> 表面張力や移流などの効果によって生じる界面の時間変化を含む様々な現象に ついて、その数理モデルや関連する移動境界問題が提案されているが、これら の問題の数値シミュレーション手法まだ十分に確立されたと言える状況ではない。 今回の研究発表では、多くの場合の制約となっている曲率項や面積保存性の自 然な取り扱いを可能にする手法として、多角形版の移動境界問題を論じる。 平均曲率流、Hele-Shaw移動境界問題、2層流体問題などの多くの重要な 移動境界問題について、その多角形版の問題が自然に導かれる。これはもとの 問題の界面の離散近似として興味深いものであるのみならず、もとの問題の類似 としてそれ自身が興味ある研究対象といえよう。講演では、空間2次元多角形版の 移動境界問題の幾つかを取り上げてその性質を紹介し、更に面積速度保存性を持つ 2次精度の陰的時間離散化について結果を報告する。時間に余裕があれば、3次元 問題への拡張についても触れたいと考えている。 なお本研究は、矢崎氏(宮崎大学),田上氏(九州大学),M.Benes氏(チェコ 工科大学)との共同研究である.