6月27日(金) 11:00 -- 12:00 大谷 佳広 (京都大学情報学研究科) ``周波数域3次元Maxwell 方程式周期境界値問題における高速多重極 境界要素法とその光学材料解析への応用'' <研究発表要旨> 高速多重極境界要素法は、大規模波動解析に適した解法であるとして注目を集めて いる。本手法は、1985年に Rokhlin によって提案された高速多重極法を境界要素 法に現れる層ポテンシャル計算に適用したものであり、従来の境界要素法に比べて 高速に数値解を与えることが知られている。 一方、電磁気学の分野においては、近年、メタマテリアルやフォトニック結晶と いった周期性を有する新しい光学材料が注目を集めており、これらに対する周期波 動問題の解析の重要性が高まっている。しかしながら、差分法や平面波展開法と いった手法では、この問題の大規模モデルの取り扱いが難しいため、材料の挙動の 解明や設計への適用可能な、効率的かつ高精度である数値ソルバーの開発が望まれ ている。 このような背景の下で、本研究では、2次元的に周期配置された散乱体による3次 元電磁波散乱問題に対する高速多重極境界要素法を開発し、フォトニック結晶や メタマテリアルといった新しい光学材料における散乱問題の数値解析への適用の 可能性を示した。