6月14日(木) 15:00 -- 16:00 永原正章 (京都大学情報学研究科) ``非整数遅延フィルタのH∞最適設計とその楽器音合成への応用'' <研究発表要旨> 非整数遅延フィルタとは,ディジタル信号のサンプリング周期の非整数倍の 遅延を実現するディジタルフィルタであり,楽器音合成や音声合成,ディジ タル通信などへ多く応用されている. 非整数遅延を実現するためには,ディジタル信号のサンプル点間を適切に 補間する必要があり,従来は,Shannon のサンプリング定理にもとづいた手法 が主流であったが,完全帯域制限の仮定や,フィルタの非因果性などが,現実 のシステムでの実装において問題となる. 本講演では,この問題に対し,サンプル値H∞制御理論にもとづく新しい設計 手法を示し,さらに,ある仮定のもとで,最適解(フィルタ係数)が解析的に 求まることを示す.また,信号補間のシミュレーション,および,楽器音合成 への応用を通じて,提案手法の有効性を示す.