数値解析・応用解析セミナー 7月21日(木) 15:30 -- 17:00 田口 智清 (電気通信大学) ``希薄気体における逆マグナス力'' <研究発表要旨> 球形粒子が回転を伴って気体中を運動するとき,球には抵抗とともに揚力(マグ ナス力)が作用する.マグナス力を求める問題は,一様流中に置かれた回転球に 働く力を求める問題として定式化することができ,流れの慣性の効果が小さい場合 (低レイノルズ数流れ)に対しては,流体力学の基礎式であるナビエ・ストークス 方程式に基づく結果が知られている. 一方,球の大きさが極めて小さくなると,ナビエ・ストークス方程式では予測 できない「系の微小化の効果」が現れる.このような微小系では,気体の運動は, 多数の分子の集団的振る舞いを定式化したボルツマン方程式によって記述される. ボルツマン方程式に基づいてマグナス力を得ることは一般に難しいが,自由分子流 (無衝突気体)の極限では,例外的に解析が容易になり,この場合,揚力の向きが 連続流の場合と比べて逆転することがわかっている(逆マグナス効果). 本講演では逆マグナス現象を,(本来の)ボルツマン方程式に基づいて理解する 取り組みについて説明する.特に,ボルツマン方程式の漸近接続展開や揚力の計算 を劇的に簡便化するクロスカップリング則を紹介しつつ,逆マグナス効果の理論や 既存の抵抗則に対する非線形補正などを説明する. ●セミナー室: 京都大学 総合研究12号館 2階203号室 (応用解析学講座セミナー室) ●総合研究12号館は旧「工学部2号館」で、本学キャンパスマップでは「京都 大学本部構内 54番建物」です。 ------------------------------------------------------------- セミナー連絡先: 京都大学大学院 情報学研究科 複雑系科学専攻 磯 祐介 e-mail; iso@i.kyoto-u.ac.jp